「こちらフォックスロット17、
街路の封鎖及び付近に警告を発令した。
もうハデに撃ってもいいぜ」
「了解っ!」
次の瞬間、多脚戦車が一気に加速して
前方にいた一台の乗用車を跳ね飛ばした。
車が近くの建物に思い切り衝突する。
それと同時に上部12.7mmRWSが横を向き、
銃口を向けられた逃走車両が
ブレーキを踏んで緊急回避をしようとするが
運転手が前部座席ごと撃ちぬかれた。
車は急減速しながら横転し、
そのまま止めてあった無人のトラックに衝突して
中身入りのスクラップと化した。
「おい、ヤベェぞ! もっとスピードを上げ―」
ギャングの一人がそう叫んだが、すでに手遅れだった。
前方の12.7mmと7.62mmガトリング砲が火を噴き、
最後の一台はまともによけきれずにもろに被弾して
銃弾が次々と乗用車の薄っぺらい鉄板を貫通しつつ
最終的にエンジンに引火して爆発しながら
前方に向かって吹き飛んでいった。
その光景を上空から見ていた監視ヘリのパイロットが、
一言だけ無意識のうちに小声で呟いていた。
「容赦ねぇな、あの操縦手…」
戦闘終結後、上空には監視ヘリの代わりに
報道社のヘリコプターが飛びまわっていた。
無線を聞くに逃走車両どもは
いとも簡単に殲滅されたらしいが…
あのバカは大丈夫だろうか?
「あー、疲れた疲れた。
速く帰って休みたいなぁ」
…そう言いながら、
建物の屋根伝いに彼女がとことこやって来た。
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