「2人目ははプリシナパテス。本名は...。まあ、意味のない話でしょうね。科学を信奉する者です。彼
女は私を''神''として扱います。信仰の対象として」
神?
「神...って。いわゆる''神様''ですか?」
「えぇ。神とは創造の象徴である、と彼女は言います。''万物を科学の法則により解き明かす者''として、
私を崇めているようです。彼女なりの思考の結果です」
(創造というよりコイツの話を聞く限り、総合的に見たら破壊の方が近いだろうに...)
口には出さずとも、喉元まで来た苦笑いが止まらなかった。それ実質...。
「...それ。宗教じゃないですか」
「私もそう思います。ですが、彼女にとって''科学''とは神であり、そして私はその体現者。本人にとっ
ては、極めて論理的な帰結だそうです」
"論理的''。大変便利な言葉だと思う。特にこの手のヤバい奴は、大抵''自分の中では筋が通ってる''と思
っている。だから余計に厄介だ。
「普段は、磁性体を操作する能力を用いて戦闘に従事しています。前衛も後衛も務まる万能型ですが、
特筆すべきは忠誠心です。私の言葉を、躊躇なく現実に変える」
「とどのつまり''信徒''ですね?」
「そう表現しても、誤りではありません」
やっぱり宗教じゃん...。
「さて...。」
やつ...。ミーナ・フェアリュクトはやけに芝居じみた動作でワイングラスの縁をなぞった。
「そろそろあなたのお話をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
通報 ...