一方その頃、在海南チェコ軍の総司令部へと
日本製の小型ドローンが単機で移動していた。
当然チェコ側のレーダーに引っかかり、
自走対空砲が標準を定める。
「なんだありゃ?」
「偵察機だろ」
下で兵士たちがそう話している中、
ドローンは空中で不気味に静止していた。
「おい、対空部隊! 速くあのハエを叩き落と―」
…それは日本製の砲撃誘導ドローンだった。
在海南チェコ軍の総司令部に向け、
どこかから発射された一発の155mm榴弾が正確無比に着弾する。
ものの数秒で指揮系統はマヒした。
続いて動いたのは、
海南島のあちこちにある民間空港だった。
バンカーから次々と省旗のマークを
描かれた軍用機が滑走路上へと展開を始める。
戦闘機、輸送機、ヘリコプター…
旅行客は戒厳令の布告により、
すでに全員が外国人居住区のホテルの中に退避している。
いるのは海南武警とわずかな空港職員だけだった。
「中佐、全機離陸しました。
これより海南島上空の制空権を確保します」
そう報告する武警の後ろでは、
連合王国製の自走対空砲が警戒を始めていた。
さらにその後ろに見える湾岸施設では
武装した小型ボートやウルグアイ製のマラカナン級コルベット、
そして魚雷工房のイグザム級攻撃潜水艦が展開していた。
それ以外の船舶は一切動くことは無く、
無論緊急避難を始めようとしていた旅行客も
当然のように港の中に閉じ込められている。
海南島は、一夜にして前面封鎖されたのである。
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