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部隊は死体の処理を終え、要請したヘリが来るのを待っている所である。
「死ぬのが分かっているのなら多少話しても良かったのでは無いのか?”ウロボロス1"」
ウロボロス1と呼ばれた男は隊員に振り返って答える。
ウロボロス1「それは出来かねる。奴の通信機を介して情報が漏れる危険性もあったのだからな。」
情報漏洩が1番駄目なパターンだ。なぜなら我々は「メアリー・スーの怪物」…対人外用に用意された部隊なのだから。
ウロボロス1「今の我々の任務は”メアリー・スーの怪物”を有する財団の構成員の排除。それに今の我々の情報は隠蔽されている。分かるだろ?”ウロボロス2”」
ウロボロス2「…そうだな…軽率だった。」
ウロボロス1「分かれば良い。しかし…ようやく”お鉢”が回ってきた。」
ウロボロス2「ああ、そうだな。しかし、WBF財団が解体されたのに関わらず勝ち目は無いな。」
ウロボロス1「奴は別次元から何かしらの干渉を受けている。ちょっとやそっとじゃ倒せないからこそまずは地道に周りから削って行くしか無い。」
“メアリー・スーの怪物"、これはファントムの人外レッドリストに該当する人物につけられる名前である。
元ネタはSCP日本支部が有するあるScipに付けられた名前であり、この名前自体、付けられた人外に対する皮肉と蔑称を兼ねている。
ウロボロス1「かつての台湾事変では、少数ながらもほぼ個人で複数の国家と戦いながら引き分けに持ち込んだ者だ。強運というよりも何かしらの”運”が作用しているとしか言えない。」
ウロボロス2「それに別人格を有し、平和を謳う組織にいながら殺人を楽しむ多重人格破綻者。力は強いが精神的に未熟で中身が伴ってない故、なおさら野放しにしてはおけない。」
ウロボロス1「そうだ。制御出来ないからこそ彼の外堀を埋めて追い込み、いずれ排除する。」
そう言う彼らにローター音が近づいて来る。
「ヘリが来たぞ」
他の隊員に促され、ヘリに続々と乗り込み始める。
ウロボロス1「さて…今まで散々好き放題してきたツケを払って貰おうか?」
こうして彼らは水面下で財団を狩り続ける。