「くたばれぇ畜生!」
一人の兵士が携行式対戦車ロケットをぶっ放した。
ロケット弾が窓の中に飛び込み、
中にいた敵兵を外に吹き飛ばす。
「第2分隊は敵の火点を制圧するぞ!行け!」
銃声と機関砲の音が響く中、
一個歩兵が前方の建物を制圧するために
駆け出していく。
「支援しろ! 撃て!」
「クソ、クソ、クソ…」
分隊支援火器のマカジンを再装填し、
突入部隊の支援の為にひたすら撃ちまくる。
地面には大量の薬莢が転がっていた。
「橋を爆破すれば時間を稼げると
工兵部隊から連絡が入ってきてますが、
どうしましょうか?」
「冗談だとしたら酷いものだな。
市民の避難が先だ、それよりも障害物の撤去を急がせろ」
「了解しました。それから本部から伝達が」
「何だ、いいニュースか」
「チェコ海軍が作戦行動をまもなく開始します。
こちらに航空支援を優先で回してくれると」
「そうか。口約束だけで終わらんといいが…
ところで市民の退避はどれほど進んでいるんだ?」
「避難民を乗せた車列は現在ポイントウイスキーを通過中です。
順調に道を切り開ければ、目標まではあと10分ほどで到着するかと…」
海南島南方20カイリ地点。
チェコ海軍の空母「トマーシュ・マサリク」を
主力とした一個空母打撃軍は既に戦闘態勢に付いており、
空母を囲むように2隻のイージス巡洋艦や3隻のイージス駆逐艦、
他にもそれをさらに支援する6隻の艦艇軍が周りを固めている。
既に海南へと地獄を送り込む準備は整っていた。
「旗艦『フラデツ・クラーロヴェー』より全艦、
5分後に巡航ミサイルを一斉発射する。
支援の為に空母航空隊は全機発艦せよ」
全てのハードポイントに爆弾と空対地ミサイルを満載し、
轟音と共に次々とS/A-39戦闘攻撃機が発艦していく。
南シナ海の空がチェコ軍機に埋め尽くされていった。