突然遠くから音楽とヘリの轟音が鳴り響いてきた。
ギャングがその方向を見て何かしきりにわめいているが、
何を言っているのかあまり聞き取れない。
ドアにピースマークを描いた一機の汎用ヘリは、
音楽に負けないぐらいの音量で両側面に載せている機関銃から
ギャングに向かって弾丸をばら撒き始めた。
遠くでバイクに乗って待機していたギャングが必死に逃げ惑うが、
たちまち大量の銃弾を浴びて地面に崩れ落ちていく。
そう大音量で音楽を流しながら、
翼を広げ獲物を狙う猛禽類のようにヘリコプターは攻撃を続けていた。
その遠くでは、一個小隊ほどの武装した人員が
簡易的な装甲を施したトラックの周りに集まっていた。
各々が来ている防弾チョッキやヘルメットに
チェコ国旗をあしらっており、まるで正規軍人のようである。
「全く… 退役軍人会って、ほんとに戦力になるんですよね?」
「でも私たちの先輩なんですよ? 私は強いと思いますけど」
その中に二人、我々が見慣れている顔があった。
…ライラ・ニーニコスキとミレナ・レヴァー、
チェコ空挺軍の第601独立特殊任務旅団から派遣された精鋭二人組である。
→Bag and Drag/大捕物
通報 ...