着弾するたびにバイクやSUWが吹っ飛び、
逃げようとしている車両も乗員もろとも
次々に鉄屑へと戻していく。
「ライラおねーちゃーん、耳が痛いよぉー」
奥ではミレナ・レヴァーが小さく悲鳴を上げていた。
「えーい、うるさい!黙って戦え!」
ライラもそう叫びながら銃弾をぶっ放す。
奥では、炎上する車両からギャングが
こちらに目もくれずに逃げ出していた。
「奴ら逃げてよ、どうするの!? 追う!?」
「後方に狙撃手が展開してる!
ここは一旦彼らに任せて個々の安全確保を続けて!」
「了解!」
そう言いながらミレナがスラッグ弾をギャングめがけて撃ち込む。
それと同時に、遠距離からの狙撃によって遠くにいた
別のギャングの一人が射殺された。
「命中。いい腕だ、ヴァスィル」
「ありがとうございます」
そんな風に相棒を褒めながら
対物ライフルのスコープを除いていたトリスタン・モルコは、
この分隊の中で唯一のフランス系チェコ人だった。
彼は元山岳部隊の強硬偵察班所属で、
東州内戦において従軍した経験がある。
その横にいたヴァスィル・ストリーチェクは
彼のスポッターだったが、モルコとは違って
所属は独立自動車狙撃旅団で従軍経験も無い男である。
「距離900m、風速北西1m」
「了解」
再びトリスタンは引き金を引いた。
14.5mmは目標に向かって正確に飛んでいき、
敵の一人の胴体を正確に撃ちぬく。
弾丸はそこに大穴を空け、
その衝撃でギャングを地面に押し倒していった。
「一人やった。次の目標指示を」
「了解… ん?」
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