その時、ヴァスィルは双眼鏡の片隅に何か動くものを見つけた。
最初は倒れているギャングの一人かと思ったが、
よく見ると匍匐前進で少しずつ動いている。
「トリスタン、9時方向だ!
不意打ちしようとしてる奴がいるぞ!」
「距離と風速は!?」
「距離820m、風速―」
そう言い終わらないうちにギャングは素早く立ち上がり、
素早く拳銃を構える。
…間に合わない。そう思った次の瞬間だった。
「畜生が!」
ギャングの一人が近くにいた自警団員―
この中ではルボミールに次ぐ古参兵である
元独立旅団所属のエヴシェン・ルニャークめがけて
拳銃をぶっ放し、その銃弾は彼の右耳を掠めて飛んでいった。
…その直後、ルニャークもすぐさま持っていた火器で反撃した。
バトルライフルから放たれた3発の7.62x54mmR弾は、
容赦なく目の前にいたギャングを真っ二つにする。
哀れなギャングの下半身はその場に崩れ降ち、
上半身も這いずりながら逃げようとしたがすぐに動かなくなった。
エヴシェンはそれに対して容赦なく無言で
ギャングの頭に再び7.62mmを撃ち込み、
スイカのように首から上を丸ごと吹っ飛ばす。
「こん畜生…」
彼は耳を抑えながら、
治療の為に後方へと下がっていった。
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