懐中電灯の強力な明かりは
照らしたところを非常に見やすくするものの、
その代償として暗い場所はますます暗く見える。
敵兵はこちらに気づくこともなく、
そのまま下水道を歩き去っていった。
さらにもうしばらく待って、
分隊は再び前進し始める。
作戦開始から既に15分を過ぎていた。
「…この上が籠城地点のはずです」
「じゃ、あそこにいる奴らは一体何者なんだ?」
ライラ・ニーニコスキが目標地点にのほぼ真下に到着したとき、
そこには夜間迷彩に身を包んだ兵士たちがいた。
規模は三個分隊ほどで、さらに全員が
消音機付きの火器を装備している。
「…味方か?」
そうルボミールがライラに言った。
「私たちの他に潜入している部隊はいませんし、
籠城してる部隊ならわざわざこんなことをする意味がありませんよ」
「だとすると、ありゃ見た目から察するに特殊部隊だな。
敵さんも同じ事を考えてたって訳か」
「でしょうね」
「撃つか?」
「こっちが始めるまで待機して。」
そう言いながらライラは
近くに流れていたレジ袋を拾い上げて
その中に手榴弾を入れ、
敵兵の背後めがけて放り投げる。
レジ袋はコンクリートに叩きつけられ、
そのままぐちゃぐちゃになって着地した。
「レジ袋? なんでこんなものが―」
敵兵が不思議に思いながらレジ袋を拾い上げようとした次の瞬間、
ベストタイミングで手榴弾が爆発した。
それと同時に一斉に分隊員が一斉に射撃を開始する。
サプレッサーの特徴的な発砲音が
短く下水道に響き渡った後、
海南武警の全員が地面に倒れていた。
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