それと同時に戦闘音を聞きつけたのか、
上から人声と走り回る音が聞こえてきた。
ライラはマンホールを銃で叩き、
そして大声でこう言った。
「ライラ・ニーニコスキ、チェコ空挺軍の先遣隊!
只今到着しました!」
一人の空挺兵がやってきてマンホールを開ける。
周りの友軍達がその光景を驚きながら見ていた。
…海南市の一角は、
今や一大防衛線に作り替えられていた。
空挺軍が持ち込んだ重火器、
海南武警の装備している歩兵用火器、
そして市民が持ち込んできた各種消耗品―
その全てがこの場所にかき集められた結果、
今やこの場所は一種の要塞のような
様相を醸し出していた。
窓からは機関銃や自動擲弾銃の銃口が覗いており、
屋上にも迫撃砲が備え付けられている。
入り口に至っては戦車が門番代わりに配置されていた。
「奥でシェンケジーク中将がお待ちです。
こちらへ」
案内役らしき兵士がそう言って
ライラとミレナを建物の中へと誘導していった。
ルボミール達も付いていこうとするが、
その寸前で別の兵士に止められる。
「おい、俺達もこの二人の護衛で来てるんだぞ。
どうして入れないんだ」
「事前に上からそう連絡されてる。
外で仲良く待ってるんだな」
「…ああ、分かったよ!」
そう言って、ルボミール達は引き返していった。
ライラ・ニーニコスキとミレナ・レヴァーは、
建物の地下にあった司令部へと案内された。
士官たちが無線機で指令を送っている中、
唯一1人の男だけが椅子に座って地図を眺めている。
その男はこちらを見るなり、
すぐさま立ち上がり敬礼してこう言った。
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