「んが… あれ、トンプソン、
なぁんでそんなに泣いてるのぉ…」
「全く、お前って奴は、
人をこんなに心配させやがって…」
「ロベルト、もうお前の出番は必要なさそうだぞ。
別の負傷兵救助に回っとけ」
「おいおい、じゃあなんで俺はわざわざ呼ばれたんだよ?
ま、無事なことに越したことは無いがなぁ…」
そんな事を話していると、
空爆停止時間が終わったのか
上空を数十機の軍用機が飛び去って行った。
翼にはチェコ空軍の国籍マークを付け、
パイロンにありとあらゆる地対地兵装を満載して。
「…見ろよ、ついにドンパチし始めたぜ。
いよいよ始まったか」
「ええ。どうやらそのようですね」
海兵偵察部隊所属のデニス・シュルツと
ラドヴァン・シュチェルバは、
空爆に寄って吹き飛んでいく海南軍の陣地を遠くから眺めていた。
先ほどまで気配すらなかった対空陣地は打って変わって
一斉にその砲火を開いており、
深夜だというのに空は爆発と曳光弾によって
明るく照らされている。
8月25日、月曜日。午後11時20分。
作戦名「プレスト・ノクターン」。
チェコ海兵隊による東方市の開放作戦は、
大量の攻撃機による大規模な空爆支援を
開始の合図を告げるゴング代わりにして始まったのであった。
→憂鬱な月曜/Blue Monday
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