「今度はT字路か。何もないといいがな…
ポイントマンは角から向こうの安全を確認しろ」
そう言われたポイントマンが発煙手榴弾を投擲した瞬間、
T字路の奥から重機関銃による無茶苦茶な射撃が始まった。
「敵の機関銃陣地!射撃音から見て12mm重機だ、
こっちのAPCの装甲を貫通できるぞ!」
射撃音は途切れることなくぶっ続けで続いており、
12.7mm弾によって向こうに停車していた軍用トラックが
穴あきチーズのような有様になっていく。
そんな弾幕の横で分隊員たちは装甲車の陰に隠れて
敵の弾切れを待っていた… はずだった。
「また足止めを食らう訳にゃいかん!
俺について来い、出来るだけ早くあの陣地を制圧するぞ!」
分隊長がそう叫びながら敵火点に向かって手榴弾を投げる。
その様相を見て他の分隊員たちが一歩下がった。
「下手に飛び出すと蜂の巣にされますよ!
どうやるんですか!?」
そう選抜射手が必死に説得を試みたが、
分隊長は大声で全員に指令を出している。
止められるものは誰もいなかった。
「機関銃手と擲弾手は窓に向かって牽制射撃し続けろ、
奴らに一発も弾丸を撃たせるんじゃない!
それ以外は俺と敵陣地を制圧する!」
そう言われた二人が角から急いで射撃を開始した。
火点周辺に大量の7.62mm弾と数発の40mm擲弾が命中していき、
一時的に敵からの射撃が止まる。
それを見た分隊長が即座に煙幕手榴弾を投げて突入していった。
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