「ぶ、分隊長を死なせるな! 続け!」
負けじとほかの分隊員達も全力疾走で付いていく。
命がけで壁まで到達したのもつかの間、
すぐに分隊長がドアを数ミリだけ開けて部下にまた命令を下す。
「古典的なワイヤートラップがあるぞ、
誰か銃剣でコイツをたたっ切れ!
こんなもんとっとと蹴散らして突入しろ!」
「了解しましたぁ!」
小銃手がドアの隙間から銃剣を突っ込み、
ブービートラップのワイヤーを切断した。
続いて内部に手榴弾を投げ込み、爆発とほぼ同時に突入していく。
内部に敵はいなかったが、
分隊長は即座に天井を打ち始めた。
「銃弾が貫通してるぞ、
奴ら床に簡易的な防弾措置をし損なったな!
お前らフルオートで撃ちまくれ、
1マカジン使い切っても構わん!」
そう言われて、全員が急いで天井めがけて
フルオートで銃を乱射し始める。
いくつかの銃痕から血がしたたり落ちてきた。
「いいぞ、戻って敵対空陣地の制圧に…
いや、このまま2階を確認するぞ。
そこから砲撃要請をできるかもしれん」
二階に上がると、そこにはいくつかの死体が転がっているだけだった。
「死体しかありませんよ。どうするつもりです?」
「窓だ、反対側の窓を見ろ!
そっから敵の対空陣地が見えるかもしれん!」
そう言われて選抜射手が窓から向こうの景色を見ると、
確かに向こうに敵の対空陣地が見えた。
対空機関砲が空に向かって盛んに弾幕をぶっ放し、
時折対空特技兵がMANPADSをどこかに向かって射撃している。
「正面からまともに撃ち合ったら一瞬で撃ち負けるぞ…
おい、レーザー標準機を使え!
速く152mmをぶち込んで奴らを沈黙させろ!」
「了解!」
そう言って、一人の兵士が窓を開けてそこから
レーザー標準機を敵の対空陣地に向かって照射する。
その要請が砲兵陣地に伝わるまで1分もかからなかった。