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理由はない
八百万の神についての日本人の曖昧観念を説明できず、「世界を司る神」については尚さら語る言葉をもたない迫水に対して、魂を信じないのか?と詰め寄るアマルガンの言葉には異様な迫力がある。この話自体はすでにくり返している「魂のマスカレイド」観かもしれないが、重要に思える一言は旧版のほうにあるように思う。
だから神などを余分に空想しなくても善にも悪にも懸命に生きるのだ――というコモンの在り方を続ける。それを知っていることに理由はいらない、というのはバイストン・ウェルという「世界観」を教えられるなり、示されて、世間の通則上それを受け入れて生きているのとは違う。
ここでは歴史とか歴史観について、バイストン・ウェルは「伝承の世界」だと言ってきたが、その伝承とやらもあやふやなフェラリオ経由の知識を語り伝えている、のではなく、「そうだと知っている。理由はないと断言すること」は、もうひとつここに強調してもいいと思う。
旧版ではここで章が切れて、次章「42 ふたりだけ」。