「コール・バック」の途中まで。上で書いたような単純素朴なゲイ観ではやはり収まらない、込み入った心理の話になってきた。面白い。
ただ、当り前のこととして本作は1996年当時の時代環境のもとに書かれている。電話という作品の中心的アイテムの存在感が現代とはあまりに違う。当時の通信環境やPC・ソフトで出来ることが現代とは大幅に隔たってしまったのと、防犯意識の常識やリテラシーも。
いうまでもないことながら、今現在に読むにはたびたびの箇所ごとにつまづき、読みにくい。30年で時代は隔ててしまったが、「それはその時代のもの」という、完全に時代劇や異世界ファンタジーにはまだなっていない。新聞や電報やという1950年代を舞台のスリラーを読むほうがまだしも安心して読みやすい……
通報 ...
通信環境以外では、「俺ちょっと風邪ぎみなんだよ」「街では悪い風邪が流行っている」というのがドラマの進行要因になるのも。それはまえにエレGYでもいった。それは2008年だった。
「風邪で寝込むこと」が話の理由に使われても、今だったらそこに若干の別の意味が加わってしまい、「恋愛や怪奇に翻弄されるストーリー以前に、基本的な感染予防意識ないのか」のような、しようのない思いがちょっと兆してしまう。2026年だったら、〈街で流行っていたら登場人物も罹患して不思議ではない〉という語りはなんとなく不自然だろう。ある時期を境に以前・以後を大きく隔ててしまったもの、エポック、のようなことを思う。
ただし、そのことは野阿梓作品という作家の通読には関係ない。最新作は2018年かな。
併読中の『メソポタミアとインダスのあいだ』からの連想のつづき。テレパス戦については、富野由悠季とル・グインの関係について最近までの思案のこと。現在進行中は、∀ガンダム。
本作『ミッドナイト・コール』にも「行政首都と経済首都」「黄海経済圏」といった胡乱なワードが登場している。時代は平行しているのかわからない。宇宙都市はあるのかな。作中で関係なければそれまで。
本作の同名キャラクターがまた別の世界に出てくるだろうという、『黄昏郷』のようなスターシステムは当然。