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プシケが二人の姉に報復することには、そのこと自体の是非については作家は何とも思っていないようだ。プシケはもともと純真で悪意を知らないかのようでいて、やり返すときには報復の仕方は悪辣で容赦ない。「悪意を蒙っても自分から同じ悪意を返すことはしない」のような、洗練された正義観はない。
ローマ時代の作家がそれくらいのことを思わないとは思わない。この小説の主人公のルキウスがそもそも複雑な性格だ。ここは、老婆が語る昔話の民話調だから物語にもともと葛藤する複雑な人格がない。型通りに、対称形に話をする。そのうえで、ここの前に「フリアエ」がでてくるがそれやエリニュス、ネメシスのような復讐を司る感情が当時(ローマ時代)とも異質ではあるだろう。
プシケは神クピドに対して犯した過ちの悔いと贖罪のためにさまようが、それ以外の人間レベルの悔いや赦しは関心に昇らない。
(「ローマ時代」というのはローマ帝政期のことだ、というかアプレイウスのこと)