カオスドラマX

Gray Traveller / 429

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わったん 2025/12/14 (日) 17:34:05 >> 428

「彼女は喪った魂を、彼らを救いたかった」
「人類を救うという崇高なる正義感を持っていたが」
「非人道的な行為を容認するような俺がその意思を継いだ」
「なんとも皮肉な話だ」
「翼の一つに成り上がり、翼と同じことをしている」

置かれたナイフを手先に納める。
そうして机に線をなぞるようにナイフを突きつけ始めた。

「心の外壁は、心の内側を守る」
「だが、決して光を与える事はなく、傷つく事さえ知らずに終える」
「お前も、似たような経験をしただろう」
「そして、俺の言葉を聞きながら、お前は俺の心の外壁を崩す為の言葉を形成しているはずだ」

「そんな打算的な考えで言葉を綴るような事はしませんよ」
「今まで逢った貴方たちもそうでしたが」
「俺に言葉を投げかけて欲しくて、ヒントを与えているように見える」

ユンフの言葉を聞き、アインは手元を止め、息を吐くように笑う。

「……」
「ユンフ、俺は数千、数万の職員たちの死を繰り返し」
「仲間の人生を奪い、苦しみを繰り返させていた」
「自分の目標を達成するという理由で全てを傍観したんだ」
「この罪は許されることはない」
「それでも……」

「貴方はやるしかない」

アインの言葉に続くように、そして彼が覚悟を決めて吐こうとしていた言葉を、
ユンフは代わりに口にした。

「……あぁ……」
「この数多の悪を通して、一度でもいい。円環の鎖を断つ」
「俺はいくらでも、なんでも背負っていく」

噛み締めるようにアインは言葉を投げる。
机から離れ、彼の前へと歩みを進める。

「俺の……管理人の役目は、ロボトミーのエネルギーを放出させ、光の種を植え付けること」
「人々に、種を植え付けるんだ」
「人間には誰しも、自分だけの光がある」
「俺達は植えるだけで、その後、どう発芽させていくかは、本人達次第だ」
「それが、真の意味で人類の病が治る瞬間」
「……ユンフ、お前はどうだったんだっけ」

彼の目の前で歩みを止め、小さな笑みを崩さず、僅かに首を傾げるアイン。
淀みなく見つめるその瞳に、彼は変色無き眼で返した。

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