「俺は元々、種を植える事はしなかった」
「代わりに出会った人達の種を育てようとしていた」
「でも、途中で心変わりしたんですよ」
「俺も、種を植えていこうって」
「……種(思い出)……」
「俺の理想とする物とは違うが」
「人の感情を揺さぶる、大きな力だ」
「俺の深淵に手を差し伸べ」
「俺の種に光を届けてくれた」
「温度を与えてくれた」
「そんな人が居てくれた」
「……貴方も俺と同じだろ」
「その感情の揺れ幅は異なるかもしれないが」
「俺達は利己的な人間なんですよ」
「……」
「本来、暗闇の中を彷徨うだけだった」
「道を拓こうにも、何も見えない」
「だから決めつけた信念で無理やり生き永らえ、ただ死を待つだけ」
「でも、その暗闇に灯りが照らされた時」
「俺達は外壁の隙間から零れ出た一筋の光で、利己を確立させた」
「その後は、その人の為に邁進するんだ」
「それが、俺達のやりたい事、成したい事」
「方向標」
「お前はその方向標に突き進む間に、種を蒔いてきたんだな」
「俺の冒険記に綴る物語だ」
「……ユンフ、お前は何故、種を蒔くんだ」
「安寧の煌めきに説いた『思い出』を、都市の人々に蒔くのは、何故なんだ」
「俺の苦痛を以てして、種に水を注ぐ事」
「俺は……」
「……」
「……」
「花畑を見せたいんです」
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