カオスドラマX

Gray Traveller / 432

432
わったん 2025/12/14 (日) 17:35:26 >> 428

「あの職員もまた、シナリオ外の存在」
「最終的には適応してしまったが、その記憶に纏わる信念は都市で生きてきた中でも燦燦と輝いている」
「……俺は、あの男をよく認識している」
「1万年にも及ぶ時の牢獄の中で自我を保ち」
「悟りを知る為に、犠牲を受け入れ前へ突き進む為に」
「壊れてもおかしくはない程、過酷な道を歩んできた」
「お前の方向標に向かって歩む姿勢に負けない程、アイツは立派な男だ」

アインは机の引き出しから、徐に小さなボタンを取り出した。

「会ってこい」
「今この時だけ、俺が管理人の代わりを務めてやる」

ボタンを人差し指で押下する。
施設に響き渡る警告音。
付随して聞こえ始める悲鳴。

「複雑だろうけど、これが都市」
「俺もまたその一環の人間。だからこそ変えようとする」
「そんな俺の姿さえ、お前は物語に綴るんだろ」

「……」

「行ってこい」

「アインさん」
「貴方が用意した舞台」
「その結末……」
「どうか、最後まで行く末を見届けられることを祈っています」

設計チームから飛び出すように退出するユンフ。
その背を見届け、アインは小さな椅子に腰かけ、肖像画たちへと振り返った。
後は待つだけ。そういうかのように、眼を閉じ、その身体を動かす事はなかった。

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