カオスドラマX

Gray Traveller / 435

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わったん 2025/12/21 (日) 21:21:28 >> 434

廊下の中央、収容室の前。
此処に来るまでの間に、幾度も幻想体、そして混乱に陥った職員を相手取り、
彼は先まで忙しなく動かしていた脚を止めていた。
懐の指輪から鼓動を感じる。
この逸る気持ちを一刻も早く収めるべきだと感じると同時に、
何処か、懐かしい、原初の感覚が、彼に安堵を与えていた。
扉を開ける。

―逆光時計 収容室―

古いぜんまい仕掛けの機械。
本体の中央部には4つの真空管があり、本体右部にはねじ巻きが付いている。
3つの真空管には光が宿り、その4つ目の空白に何かを埋めんとする意志があった。
だが、その幻想体に対する所感よりも、彼にとってはまず

「よう」

一寸先の暗闇さえ、己の手で熾した光で包み込むような、
決まりきった未来にさえ抗い、己を確立させていくような、
自分という存在を築き上げたような、
決して一言で表す事の出来ない存在の放つ一言に、
ただただ、辿り着いたかのような感覚を覚えた。

「……オーウェンさん……」

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