「……」
「久々だな。これ」
「ユンフ、意識あるか?」
鋼鉄を手に掛け、ガチャッという音で合図する。
「さてさて、それじゃあこれから俺達はとんでもなくカッコいい存在になるぜ」
「なんつったって、さっきのアラートは無かったことになったからなぁ」
「その無くなった分が何処に来るか」
悲鳴の聞こえないL社。
代わりに鳴り響くは、数多の幻想体の悍ましい音。
薄暗く、電力を含めたインフラ全てが停止したL社の世界。
それは、クリフォト抑止力が喪われたL社。
「前の俺はどうだったかな~」
「結果はもう朧気だが、あれを周りに見せたら惚れ直しただろうぜ」
「ったく、俺っつーE.G.Oの扱いに長けた職員だからこそ出来た芸当だったっつーのに」
「お前が混ざったら俺の専売特許がなくなっちまうぜ~ったく」
互いに収容室を出る。
その薄闇の奥底から見える眼光は、一方的な殺意を持った怪物が多く潜む事を示唆していた。
そんな絶望的な状況下、二人は背を互いに預けるように、互いに反対へと歩む。
「大事な話ってのは、全部終わった後にしっぽり語るってのがかっけぇのさ」
「……話の続きは、此処の全員を寝かせた後でいいんだよな」
鋼鉄を抜ききる。
「出来るか?」
十字架の表面、棘の冠を被った頭蓋骨のメイスを抜き取る。
互いに駆け出すその瞬間
「貴方探す方が手間取ったって言っただろ」
「口下手ァ~~~!」
なんてことのないやり取りを残し、二人は幻想体の群れへと駆け込んだ。
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