カオスドラマX

Gray Traveller / 443

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わったん 2025/12/28 (日) 21:27:06 >> 442

―中央本部 メインルーム―

神々しさの消滅した中央本部メインルーム。
在ったのは管理されることのなくなったエンケファリンの塊と、黒ずんだ血の跡のみ。
廃墟にも近しいその場で、二人の男は地べたに腰かける。
「ウェルチアース」と書かれたソーダ缶を片手に、互いに盃を上げた。

「いつぶりだろうなぁこれ飲むの」
「独特の香りと甘味、元気が溢れるこの感じが溜まんねぇのよ」

赤い缶を口から離し、わざとらしく「っかぁ~!」と喉を鳴らす。
その仕草を凝視し続け、やがて自分も手元に握った青いアルミ缶を口元に追いやった。

「……」
「炭酸水だな。仄かにソーダの味がする」

「俺はあいつに本能作業しかさせてもらえなかったのよ」
「チェリー味のジュースばっかり飲まされたのさ」
「お前が今飲んでんのは洞察作業の――」
「もう完飲したのか?男らしい飲みっぷりじゃねーか!」
「喉乾いても知らねーぞ。まぁどうしても欲しいってんなら俺の飲んでるコレやるよ」

僅かな雑談を挟む。
暗がりに眼の慣れた頃合い、静寂なL社の中で、互いの呼吸と服の擦れる音が神経に感覚を及ぼす。
そうして互いの神経が無残にも落ち着いてきた頃。

「――記憶に関する幻想体
「お前が求めて、俺に会いに来た理由はそいつだろ」

憂いを帯びた柔和な笑みを、同情に近しい感情を以てして、オーウェンは口を開いた。

「俺は勘のいい男だから分かんだよ」
「しかも顔と性格もいい」
「時空閉鎖の概念の外からお前は俺に会いにきて」
「爺さんの後悔を背負って、更には其れさえ持って帰ろうとしていやがる」

「人の頼みを勝手に引き受けた。それを遂行する事は当たり前のこと」

「どうだかな。お前が主とする目的は、幻想体に関する情報を得る事のはずだ」
「その目的に達するために、爺さんとの縁を繋いだだけ。あとはどうとでもなる」
「だっつーのにお前は俺にわ~ざわざ指輪を見せた」
「本来要らねぇ過程なんだよそれは。結果に基づくにはあまりにも非効率的だ」
「あぁ、都市の人間ならな」
「だがお前はそうじゃねぇ。L社の外、都市や外郭どころか、その更に外の人間」
「俺達という存在と、そもそも無関係極まりない不純物」
「だからなんだろうな。無駄な過程を背負って、それを最後まで持って行って」
「……」
「あ~……」
「……」

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