「――」
「おいおいおいおい、お前マジでイケてんじゃねーの」
「くぅ~~~!オーウェン語録にお前が言った言葉丸パクリしていいかァ!?」
「こんなサイッコーに自己中心的でありながら」
「他者に投げかける言葉が優しい奴いるかよ!」
「あぁ、でも分かったぜ。お前、俺と居るから今輝いてんだな?」
「分かるゼェ~、俺という存在……っぱガイアが俺に輝けと囁いているわけだ……」
高笑いを交えながら、オーウェンは空になった缶を投げ捨てる。
軽い金属の音が響き、それを皮切りに彼は再び表情を小さく落とした。
「俺が記憶抹消技術の影響を受けなくなったのは、ある幻想体と接触してからだ」
「識別名称は『旅人の思い出(クリスタルクロニクル)』」
「あいつは自身を『ラモエ』と言っていた」
「……」
「その日、付きっ切りでそいつの管理をしてた」
「多くの情報を引き出している最中、俺の悲しい記憶が欲しいと叫んできやがった」
「幻想体ってのは何するかわかんねぇからな。俺は断って収容室を出ようとしたんだが」
「俺の脳内にあらゆるノイズが奔った」
「黒い甲冑のちいせぇ種族と、ヘンテコな服装をした詐欺師みてぇな奴」
「魔物に襲われて怯える人々や、瘴気に魘され嘆く人々……」
「……そして最後に、温かい『思い出』が流れ込んできた……」
「……そうか、誰かの家族とのあの思い出」
「お前が探し求める物の一端なのか……」
「……」
「その瞬間、『旅人の思い出』は収容違反を起こしてL社を攻撃し始めた」
「俺は交渉したんだ。俺の記憶をやるから戻れと」
「だが、アイツが求めたのは今までの記憶ではなく、この先の永劫の記憶」
「俺がL社で味わう地獄を、ひたすら食らいつくす物語」
「――」
「その日から『旅人の思い出』は出現しなくなった」
「そう、出現しなくなったという記憶があった」
「あとは話した通りだ」
「アイツは、L社の中で眠りながら、永遠に俺の記憶の一部を食っている」
「――」
「――」
「――オーウェンさん、俺は――」