幾日か経った。
「研究速度が速すぎる」
「これでは彼の身が持たない。今からでも治癒シーケンスの解除取り消しを……」
「適正投与値の範疇であり、君が推奨した痛覚遮断処置により個体自身の感情希薄効果は十分に役立っている」
「この研究結果は、君の選択の基で行われた神秘だ、ニゲラ」
「儂は誇らしく思う。君の選択は、間違いではなかった」
「だが――」
「ニゲラ」
「儂らが紡ぐは命ではない」
「礎だ」
「――」
「絆されるな」
「儂らのこの血肉で敷かれた技術こそが」
「都市を救う礎となる」
「――」
「治癒シーケンスは次回訪問時に解除される」
「……ッッ!!!」
「頭を冷やせ」
「その怒号を、あの個体に聞かせるのも数値に反映されるやもしれんが」
「決して碌なことにはならないだろう」
一度さえ言葉を交わしたことのない彼。
ただ、あの笑みが忘れられない。
忘れるべき笑み。
俺は医療技術と保存技術に邁進した一研究員であり、
都市に生きる以上、彼に対して抱くこの拘りは決して必要なものではない。
俺は、バカだと思った連中にさえ押鎮められる程、冷静ではなかった。
俺は、俺は――。
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