「個体N381から抽出した技術の保存作業」
「義手、内臓に直接略動を送る補助器官、有機物型延命装置」
「他にも多くの結果が出た」
「ニゲラ、これからはお前が保存作業の担当をしろ」
「既に旧個体含めた患者の残存は消滅した」
「あの個体だけが、会社を支える柱であり、都市の人々の希望となる」
「個体のことは任せておけ。儂らが最後の時まで共に居る」
「……分かった……」
義肢を流す。
補助器官を梱包する。
延命装置を組み立てる。
彼から出た技術が、医療器具として、保存された証として、
形になっていた。
俺があの時、完治を願ったが故に、この技術は誕生した。
誕生してしまった。
彼の命を賭して、命を支える器具が生まれてしまった。
あの笑顔が脳裏に浮かぶ。
あれは、幸せの笑みだった。
だが、それは偽りだ。
決して、望むものではない。
望んでいるが、そうではない。
その矛盾は、救いではない。
俺は、俺が、
彼に対する選択の後悔を、
治癒シーケンスを進めればいい。
患者の数の成り立っていない病院。
それは既に病院に非ず、工場である。
医者の命を無残に消せば、倫理委員会が黙っていない。
だがここは工場である。
そう、いわば『禁忌』に触れる事は無い。
この工場には、保存容器が存在する。
個人を示す情報書類も個々に存在する。
「薬品棚の整理」
「保存器官技術生産機」
「概念焼却機」
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