「……ニゲラ……」
「概念焼却機の功績とは言えど、人の記憶は完全には消えません……」
「違和感は残るだろうな」
「在ったはずのもんが消えている」
「だが、何が消えたかは分からない」
「薄らした感覚の中、お前らは彼への研究に夢中で」
「あらゆる患者を見捨てて未来を勝ち取ろうとした」
「技術に犠牲は付き物です……」
「それは君だって分かっていることでしょう……」
「なのに何故こんなことを……」
「アベリア、お前を殺したくない」
「だから頼む、一つだけ聞かせてくれ」
「賢いお前なら応えてくれるはずだ」
「……」
「アベリア、お前にとって、彼はなんだ」
「……」
「……」
「翼の座を狙うための、大きな礎です……」
「……は、はは……」
「……ほら……やっぱり……顔を歪め――」
燃やし、
保存し、
投げ捨てた。
工場には人が居なくなった。
俺が消した。全員。
その時は、最早誰だったかは覚えていなかった。
確かに概念事焼却したはずだったのに……。
……。
……。
俺の選択は、正しかったのだろうか……。
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