『この期に及んで一切表情を変えない胆力』
『慢性的ストレス下における感情鈍麻と過覚醒の共存状態』
『認知的再構成と予期的感情遮断の複合型』
『実存主義的主体でありながら、機能主義的自己モデルを採用』
『如何でしょうか、それら項目は全て貴方の無感情を司る礎』
『貴方様の諦観傾向を示す流通です』
『最早貴方の表情は倫理的暴力、変わらなさすぎる』
『どんだけ我慢すればそうなるのか気になります』
「知らんよ」
自販機の表示灯が、未だ語り足りないという意思を主張するように明滅している。
対してユンフの表情に変化はなく、ただ終着点の見えない問答にそろそろ終止符を打とうと目を細めた。
『さて、ここまでの当機からの推論を用いまして――』
「飲み物を買う」
平坦な声色。
波形にすれば、開始から今まで一切の振れ幅がないその統一した声。
対して自動販売機は
『……はい?』
困惑の色を見せた。
「飲み物を買う」
『いえ、しかしですね』
「金、入れる」
閉じた硬貨投入口。
彼は問答無用でその閉じられた門を開けるべく、硬化をぶち込んだ。
『うげっ!なんてことするんですか!!』
「ボタンを押す」ポチッ
ガランガランッ!
「出てきたものを飲む」
出てきたのは炭酸飲料。
その缶を手に取り、自動販売機の前で横に振る。
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