――里帰り
V社の巣。エル村、そして繋がるソル街全体を覆った固有結界。
原因不明だが、物理的に栄光のある長閑で、不自然な小麦畑や山村の家々が聳え立つ。
ビルの隙間や工場など、最早場所は問わず、まるで御伽噺に出てくる村の背景が全体を覆う。
住民達は、「村の役割」を与えられており、記憶を失い、自我を保っているものはいない。
鍛冶屋、商人、こなひき、錬金術師。
ありとあらゆる職業や、村人として、住民として演じさせられている。
だが、誰しもが敵対心は無く、穏やかに暮らしているそうだ。
「人的被害こそありませんが、最早嘗て存在していた都市の一部としては機能を成していないそうです」
「V社は製造地帯であるソル街の奪還を主として、報酬金を公表しています」
「その額は都市の星に該当するものです」
「記憶の奪取や、自我に関するねじれですか」
「最早、都市の物とは思えない現象だそうです」
「先遣隊もまた、里帰りにおける住民の一部となり、その区域で生活をしています」
「唯一生き残ったフィクサーの情報は、非常に欠落的でどれも情報に乏しいですが」
「見えた看板の文字が、何処か哀しみを帯びていたと評していました」
「……看板……?」
「はい」
「我々にこの依頼内容が伝達されたのは、楔事務所が他案件による拘束に合う為」
「其処から貴方を指名されたものになります」
「オスカーさんからのご指名ですか」
「わかりました。里帰りの案件、請け負います」
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