「うぎゃー!もー一回!」
「へへーん、次も僕が勝つもんねー!」
ビルに向かう狭間。
麦畑の横で、木の棒を振り回し合った少年たちが居た。
「……?あ、お客さんだー!」
「ほんとだ、珍しい!」
ユンフを見た途端、その棒切れを引き摺りながら、物珍し気に少年たちは駆け寄ってくる。
「お兄さん、強そうだね!」
「めっちゃ強そう!」
彼は少年たちの持つ木の棒の握り手を見つめた。
その構えの残痕は、剣を持つものではなく、槍を持つものの証であった。
「……槍術を勉強しているのかい?」
二人の少年が握る木の棒に一瞥をやったあと、彼は膝を曲げて視線を合わせる。
「そう!俺達クラヴァットと違って、リルティの人は力持ちなんだ」
「だから、そのすっごい強い力持ちになるために、頑張ってる!」
「……」
「あぁ……彼らは『武』の民だからね」
「でも、ティダの村の住民である君達が、何故リルティの槍術を?」
「お兄さん知らないの?」
「ティダの村のクリスタルキャラバンは、全種族が力を合わせて結成された最強のキャラバンなんだよ!」
「そーそー。その中でも、ミルド=デリス兄ちゃんは滅茶苦茶強いんだぜ!」
「いつも帰ってくる度に、倒した魔物の事も教えてくれてんだ!」
「翼の生えた目玉の化物とか、魔法を使う骸骨戦士とか、でっかいゴブリンとか、みんな倒しちゃうんだぜ!」
「アーリマンとスケルトンメイジ、……多分オークかな」
「うん、そんな感じの名前だった気がする!」
「その人に憧れて、君達も腕を磨いているんだ」
「ミルド=デリス兄ちゃんは、キャラバンとしてだけじゃなくて」
「この村の護り人として、俺達を護ってくれてんだ」
「希望の村、太陽の村なんだから、子供は元気でいろって!」
「俺達も、リルティの誇りを持った兄ちゃんみたいに、強くなって護っていきたい!」