カオスドラマX

Gray Traveller / 517

517
わったん 2026/02/22 (日) 19:56:31 >> 512

「ラ・セナさんは、何故ティダの村のキャラバンになったのでしょうか」

「さぁ、どうなのかしら」
「でも、あの人は凄く自由な人だから」
「きっと理由も「なんとなく」とかその辺よ」

「気負わない、自由な人ですね」
「『我』の民たるセルキーらしい人だ」

「そう、だから私達にも同じことを教えてくれた」
「人は本質的に縛られながら生きていくけど」
「その柵の狭間に見える希望は、決して縛られているものではないこと」
「あの人にとって、私達ティダの村を救う事は」
「きっと束縛されたものじゃなくて」
「もっとこう、崇高とかそういうんじゃないんだけど」
「そうしたいからっていう自由気ままなところだったと思うの」

「……」

「ふふふ、どうやら貴方もキャラバンみたいね」

「えぇ、ラ・セナさんのような自由な気持ちで赴くことは出来ませんでした」

「でも、『そうしたい』って思ったんでしょ?」

「理由は明白だったので」

「きっと仲良く出来るわ、貴方達」
「水かけ祭りが始まったら、一緒に踊る?」

「俺のダンスパートナーは決まっています」

「あら、残念」
「じゃあ音楽だけ奏でてあげる」
「ちゃんと楽しそうに踊ってね」
「それが、音色を奏でる者に対する最高の賛美だから」

セルキーの人物像を語る女性。
その自由で、清涼感が駆け巡るノスタルジーな雰囲気は、
ティダの村で何にも縛られずに生きてきた人が放てる独特のものであった。
村で過ごした『思い出』があるからこそ、語る事の出来る確信。
ユンフはその確信を噛み締めながら、女性に一つ挨拶を交わして再び街路を歩む。

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