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「ラ・セナ女史。風は常に其方(そち)の喉を待望しておる」
「斯様に言の葉を荒げては、大地に咲きし種に其方の栄えある感情が達せず」
篝火を頼りに、書物へ知性の灯を捧げる語り部たるユークもまた、この活況に心を投じる。
達観した哲学的な物言い。だが人情には敏感な不思議な種族。
トルブジータは、常に俺達に知識を与えてくれた。
……正直、何言っているかは分からない時の方が多い。
だが、確かに指し示す行路は、雄大で、それでいて浪漫に満ち溢れている。
詩人の魂を持っていたんだ。
その魂から零れ落ちる言葉の断片が、俺は好きだった。
「トルブジータ。あんたは相変わらず本の虫~?」
「左様。某は夜空の欠片に身を注ぐ」
「常に天へと登りし川へと渡る為、知識という財産をこの身に宿さねばならぬ」
「故、其方の旋律もまた、我が知識の一部となりて」
「トルブジータさん、この女をあんま褒める必要はないぞ」
「手癖の悪いセルキーの中でも、とっぅううぉぅっぅぉおおおおっくに性悪だからな」
「アタシ、人生で一度はカレー作ってみたかったのよね~!材料は揃ってるかしら~!」
「おうおう、何処の誰が材料だって???」
「某も香辛の妙味に感動を求めん」
「トルブジータさん!?!??」
「トルブジータ、アンタのボケは天然過ぎるから冗談に聞こえねぇって」
「レビ氏。某は冗談とは疎遠の表紙」
「冗談だって言ってくれや」
ティダの村のクリスタルキャラバン。
あぁ、其処はクラヴァットの住む村だ。だけど、俺達キャラバンは4つの種族が集まっていた。
不思議だよな。旅路を通して仲間になってくれたこの人達は、
俺より遥かに円熟した魂を持ち、俺達を救ってくれていた。
「クスクス……」
そうして、俺達のやり取りを横目に、テトは微笑む。
彼女の呼吸を孕んだ、透き通った笑い声が好きだった。
仲間たちとの喧噪に、さらに清涼な風を吹き込んでくれる。
俺の女神。俺の天使。俺の生き甲斐。