その日の野営番は俺だった。
皆、武器を枕にしてクリスタルケージの温もりを頼りに眠りに落ちる。
朝日が東の空を焦がすまで、彼らは先刻までの喧騒が嘘のように、静謐な彫像と化す。
「……」
そういう時、俺はいつも不安になった。
孤独な夜の帳の中。
この人たちは、生きている限り、俺の傍に居てくれんのかって。
俺は、記憶をする。
彼らが話した言葉を。記した手先を。描いた軌跡を。
そうして全てを思い出として、俺の中に内包する。
でも、俺だけじゃ覚えきれない。
この世界は、記憶が薄らになる事がある。
抜け落ちた物語を、離したくなかった。
だから、常に更新したいんだ。
だから、お前達には離れてほしくないんだ。
俺は、お前達との日々が好きだったから。
「レビ」
純真の囁きが、俺の肩でふわりと包み込む。
体躯の体温が染みわたる。篝火なんかよりも、ずっとあったかい心。
「ラ・セナと一緒に寝てたんだろ」
「野営番は俺だよ」
「テトは寝なくちゃ」
「眠れないの?」
「……?当番だからな」
「ううん、違う」
「なんだか、心が騒めいているように思えたから」
見透かされた本心を飾ることなく、彼女を抱き寄せる。
ただ、己の内側に渦巻く不安を鎮めたいという、独善的な渇望に過ぎない行動。
それを受け入れてくれる彼女は、何処までも俺にとっての聖女だった。
「大丈夫だ」
「テトが一緒に居てくれる限り」
「俺は生きているよ」
「……もー……」
「私も同じだよ」
胸板に感じる、确かな鼓動と熱。
魂を癒やす絶大な安らぎ。
言葉と行動で返してくれる俺の生き甲斐。
俺は君の笑顔の為に、
この先の旅路を描いていける。
それは、太陽が指示す故郷への道だったから。
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