カオスドラマX

Gray Traveller / 528

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わったん 2026/03/01 (日) 18:56:59 >> 522

その日の野営番は俺だった。
皆、武器を枕にしてクリスタルケージの温もりを頼りに眠りに落ちる。
朝日が東の空を焦がすまで、彼らは先刻までの喧騒が嘘のように、静謐な彫像と化す。

「……」

そういう時、俺はいつも不安になった。
孤独な夜の帳の中。
この人たちは、生きている限り、俺の傍に居てくれんのかって。
俺は、記憶をする。
彼らが話した言葉を。記した手先を。描いた軌跡を。
そうして全てを思い出として、俺の中に内包する。
でも、俺だけじゃ覚えきれない。
この世界は、記憶が薄らになる事がある。
抜け落ちた物語を、離したくなかった。
だから、常に更新したいんだ。
だから、お前達には離れてほしくないんだ。
俺は、お前達との日々が好きだったから。

「レビ」

純真の囁きが、俺の肩でふわりと包み込む。
体躯の体温が染みわたる。篝火なんかよりも、ずっとあったかい心。

「ラ・セナと一緒に寝てたんだろ」
「野営番は俺だよ」
「テトは寝なくちゃ」

「眠れないの?」

「……?当番だからな」

「ううん、違う」
「なんだか、心が騒めいているように思えたから」

見透かされた本心を飾ることなく、彼女を抱き寄せる。
ただ、己の内側に渦巻く不安を鎮めたいという、独善的な渇望に過ぎない行動。
それを受け入れてくれる彼女は、何処までも俺にとっての聖女だった。

「大丈夫だ」
「テトが一緒に居てくれる限り」
「俺は生きているよ」

「……もー……」
「私も同じだよ」

胸板に感じる、确かな鼓動と熱。
魂を癒やす絶大な安らぎ。
言葉と行動で返してくれる俺の生き甲斐。
俺は君の笑顔の為に、
この先の旅路を描いていける。
それは、太陽が指示す故郷への道だったから。

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