カオスドラマX

Gray Traveller / 554

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わったん 2026/03/29 (日) 17:25:03 >> 550

「レビ。アンタはどうなの」
「我慢、してんじゃない?」

「……俺が?なんで急に」

「テトのことよ」
「傍に居てあげたかったんじゃないの」

ラ・セナの何とも言えない笑みに、俺は即座に答えることは出来なかった。
あの時、テトを置いていくことを選択した。
俺はクリスタルキャラバンであり、村を護っていかなければならない。
だが、同時に一人の父親として、家族を護っていかなければならない。
身籠った彼女を差し置いて、俺は旅する事を選んだ。
俺も共に残る選択だってあった。
彼女を連れて旅をする事も、選択としては存在していた。
だが、俺は彼女を置いていくことを選んだ。
それは、俺がまだ旅をして……

「お前達との思い出を、作っておきたかったんだ」
「俺は、お前達が好きだから」

我慢や嘘。俺にもほぼ無縁なものだった。
だが、大人になっていくにつれ、あらゆる選択は選択として機能しなくなる。
だからこそ、父親になる瞬間が訪れる前に、
まだお前たちの前で、ガキで居たかったんだ。

「……そう」

ラ・セナは俯くように笑い、小岩から離れて焚火に近づいた。
腰を下ろし、4人で顔を照らし合う。

「なら、最後までいい思い出にしないと」
「そうして、この旅をアタシは石碑に刻む」
「アンタの子供に読んでもらう為にね」

「俺の子に、古代セルキー文字を読めるように仕込んでくれるか?」

「アタシってセンセーって感じしなくない?まぁいいんだけど!」
「トンベリぐらいノロノロなペースだけど、教えてあげる」

なんだろうな。
俺の事ではないんだけど、自分のことのような楽しみが増えた。
俺の子を通して、ラ・セナがティダの村で変わらず過ごしてくれる。
そんな気がして、心底ホッとした。
そんな未来がもうすぐ来るんだと思うと

「尚更、ミルラのしずくは持ち帰らなくちゃな」

帰るのが待ち遠しい。

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