―クリスタルワールド―
青と黒、そして光で構成された幻想的空間。
ステンドグラスのような装飾の灯りが散りゆく最中、
其処には巨大な奇怪が宙を浮いていた。
「メテオパラサイトに手を出すな、ティダのクリスタルキャラバン共」
「――魔物が言葉を……!?」
「魔物とは、我が生成した歪みの存在」
「『哀しみの思い出』を作る、ただの連鎖に過ぎん」
「何者だテメェ!」
「我が名はラモエ」
「メテオパラサイトにより大クリスタルが破壊された時、その歪みから瘴気によって生まれし思い出の管理人」
「キサマらがクリスタルキャラバンとして生きるのは、我が食事を養うためである」
「瘴気に満ちた世界では、思い出の循環が上手く行かない」
「それ故に、魔物を作り、キサマらから哀しき思い出を作り出す」
咄嗟に感じたのは、
コイツが邪悪であること。
「大クリスタルの破壊とあれば、2000年にも及ぶ太古の歴史」
「隕石が降り注ぎし悪魔の思い出」
「人は殊勝な生き物よな」
「そうして歴史を刻み、争い、今を過去へと変貌させる」
「このラモエにとって、その健気な生き様は非常に美味であったぞ」
「アンタ、もしかしてその為にさっきの魔物を護っているっていうの……?」
「アンタの食事の為に、どれだけの人が苦しんでいると思ってんのよ!!」
「セルキーとは何処までも哀しき種族よ」
「コナル・クルハ湿原に刻みし最果てへ赴く旅路」
「その結末は、このラモエにとってはまたとない美味であった」
「アンタ……ッッ!」
「リルティにおける家族愛もまた、我が心を癒す物語」
「零れ落ちぬように支えた心中は、今も尚キサマのトラウマを刺激する」
「マール峠の悲劇は、中々痛快であったな」
「――」チャキッ
「ユークとは幾何学にしか生きぬものよな」
「針葉樹の大森林。その最中に浮かぶ夜空に恋焦がれ武器を持つ」
「シェラの里に囚われしキサマの孤独は、誰にも理解されぬ思い出であったな」
「故に夜空の端に連なんとせし」
「して、その輝きを共にする仲間と出会えたり」
「我が心を揺さぶらんとせしその言の葉は、決して某を陥れる事はなけり」
「共に道を歩むからといって、それは『理解』には成りえん」
「所詮キサマの独りよがりであり、キサマ一人の旅となる」
「――憤激」
「耳を貸すな」
「トルブジータ、お前の夜空への渇望は、俺達ティダのクリスタルキャラバンだけじゃない」
「ティダの村の皆が理解している」
「根本的な理解じゃないかもしれないが、お前の夢だ」
「お前一人の夢なんかじゃない」
「レビ氏……」