全滅した。
……全滅した。
戦いの最中、苦しみに叫ぶ俺を肉の壁となって護る誰かが居た。
戦いの最中、剣を握る俺を死の淵で支える誰かが居た。
戦いの最中、痛みを和らげながら俺を明日へ押し戻そうとする誰かが居た。
誰かが、居た。
誰かが。
――。
――。
――。
だれ、かが。
――。
いたんだ。
「――」
「――」
「――」
「――」
声にならない慟哭が、肺を焼く。
槍も、ラケットも、ハンマーも。
全て、空間に浮かぶ。
誰の手にも握られることのない、冒険の証は、
こんなにも無残に散っていく。
地に伏した視界の端で、俺の好きな奴らは、
皆、もう、旅を重ねる事は出来なくなっていた。
もう、二度と、二度と。
彼らがこの世界の土を踏み、旅路を重ねることは叶わない。
「――」
涙が止まる事はなかった。
その時の俺は、ただ好きな奴らの死を目の前にして、
感情の昂りを抑える事など出来なかった。
それでも身体は言う事を聞かず、
ただ頭上で浮かび上がる邪悪に翻弄される他なかった。
「哀しき事だ。ミオ様からの授かり物を、このラモエに献上する事になるとは」
「最高の物語ではないか」
「愚かなクラヴァットの民よ。幾重にも仲間に助けられ、辛うじて紡いだ命の感想は如何かな?」
「――」
「声を出す事さえままならぬ半死半生か」
「この者らは哀しき思い出を抱えていた。実に美味なる思い出である」
「だが惜しい事に、このラモエを前にしてこの先を築く事は出来なくなってしまったようだな」
「クラヴァット。キサマはどうだ」
「過去にも今にも未来にも、キサマは希望とやらを抱えて生きている」
「その希望がある限り、キサマの思い出に我が美食が浮かび上がる事はないだろう」
剣を握らなければならない。
そうでなければ、キャラバンである俺達の誰か一人でも村に帰らなければ、
俺は、俺達の希望は――。