「――そうか。尚も立ち上がるか」
「それほどの活力を見せし者程、崩れ落ち往く様は美しい」
「なればなけなしのキサマの思い出を――」
「……」
「……ふむ」
「帰りたいか?自尊心をも捨て、己の旅路さえ捨て」
「故郷に帰りたい。そう願うか?」
希望を、持ち帰らなければならない。
俺は一人の人間として旅をしてきた。
だが、今は違う。
もうクリスタルキャラバンとしての使命を担い、
父親としてあの村に帰らなければならない。
そう思うが故に――。
「み……のがし……てくれ……」
「たの……む……」
仲間達の死は、俺を酷く変貌させてしまった。
あらゆる困難に立ち向かい、出来ないと思った事さえやり遂げる。
それは俺の中枢にあったものであり、決して変える事の出来ない核だと思っていた。
だが、その核は崩れ去り、自身の抱く理想を捨て、感情を殺して、
この邪悪に命乞いをしなければならなかった。
「よかろう」
「このラモエ、キサマに最大の恩情をかけよう」
「だが……キサマがミオ様から貰ったしずくは、我が供物として貰い受ける」
「な……」
「我が聖域からキサマを追いやる」
「もう二度とこの地に足を踏み入れることもない」
「せいぜい、哀しみに満ちた思い出を紡いでいけ」
満身創痍となった俺の身体が打ち捨てられたのは、瀕死となったメテオパラサイトの前。
剣を握る力さえままならず、付近のケージのほんの僅かな光に当てられながら周囲を見渡す。
……仲間の亡骸は、存在しなかった……。
埋葬さえ赦されない、嗜虐の心得。
それに従う他なかった、自身の無力ささえ、最早感じる事はなかった。
ただ、涙が溢れる。
辛く、険しく、立ち直れない程の哀しみ。
俺にはわからない。
今、俺の目の前にあるケアルの魔石。
仲間の意志が俺に答えてくれたものなのか、
ラモエがバカにするかのように置いたものなのか。
俺はもう、その情緒さえどうでもよくなっていて
「――ッッッッッッ!!!!!!」
ただ拳を握りしめて、空に等しいケージの横で叫ぶだけだった。