「どれぐらい経った」
「起きた直後に多くの情報を仕入れると、反って――」
「どれぐらい経っ――ゲホッ!ゲホッ……!」
「……」
「頼む、教えてくれ……」
「……」
「丸一日だ」
「……本当か?」
「あぁ、君を『引き上げて』から、一日」
「……」
「何処のキャラバンだ?」
「ティダ」
「……」
「……」
「……そうか」
「世話になった、すぐに出る」
「クリスタルケージを返して欲しい」
「あぁ、部屋の出口の箪笥の上においてある」
「安心しな。一滴たりとも奪っちゃいないよ」
「ありがとう」
そうして身体を起こす。
痛みは思った程無かった。
介抱されただけあって、身体の傷は癒えていたようだった。
「……不躾な頼みで申し訳ないが、武器だけ貸して欲しい」
「いつかキャラバンの旅で、またこちらの村に来る」
「その時に返すから」
「俺が昔、キャラバンだった頃の伝説の剣が其処に立てかけてある」
「……持っていきな」
「そして、どうか無事に生きるんだぞ」
「……」
老人の意味深な、罪悪感さえ覚えさせるその苦しそうな笑みの意味。
俺は察する事なく、善意で敷き詰められたケージと、老人が使っていた剣を抱えて出て行った。
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