カオスドラマX

Gray Traveller / 587

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わったん 2026/04/19 (日) 19:33:41 >> 580

掛けられた言葉にさえ心を寄せる事の出来ない不安定な状況。
その状況を作り出している己さえ恨めしい。
死を願った。
なら、どうすればいいか。

「――」

クリスタルケージを、彼女らに突き出す。

「……え?」

「持ってけ……」

「こ、これはおにいさんの――」

「要らねぇんだよ……」
「もう、要らねぇんだよ……」

「……どうして……」

君達が見せた思い出の残滓。
少なからず、ズタズタになった俺の心に、響いたはずなんだ。
でも、その時の俺は決して理解せず、
ただ鬱陶しかったんだ。
希望に満ちた存在が。

「知らねぇよ……分かんねぇよ……」

「でも、おにいさんが――」

「頼む……」
「帰ってくれ……」

「……ごめんなさい……」

魔石が膝元で転がる。
そして許可も無しに、一つだけ溜まったミルラのしずくの入ったケージが横に置かれた。
そうすると、二つの影は瘴気ストリームの方へと消えて行く。

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    わったん 2026/04/19 (日) 19:34:37 >> 587

    「……」
    「……」
    「……」
    「……」
    「……」

    現実を受け入れる事は出来ていない。
    ましてや、直面もしていない。
    もしかしたら、まだティダの村はあるかも。
    そんな希望が過る。
    でも、それは無い。無いんだ。
    誰一人として生き残らなかったクリスタルキャラバン。
    村が生き残るために必要な光のしずくを、俺が持っている。
    その因果関係が結びつかない以上、過る答えはただ一つ。

    「……」
    「……」
    「……あぁ……」
    「あぁぁ……」

    遅れてやってくる感情が、視界を塞ぐ。
    流れ出る雫を留める事など出来ず、
    過る愛しき人の笑顔。
    俺は、護れなかった。
    護れなかったんだ。

    「ごめん……」
    「ごめん、ごめん……」

    来年も、一緒に居たかった。
    でも、出来なかった。
    俺が、俺が――。

    ただ、ただ。子供のように泣き喚き、
    崩れ落ちた俺は、力無くその場で倒れた。