カオスドラマX

Gray Traveller / 599

599
わったん 2026/04/26 (日) 21:29:17 >> 598

それから幾数ヶ月も過ぎた、もうすぐキャラバンが出立する頃。
そんなある日の夜だ。
住まわせてもらっている家で、旦那たちが既に眠りに付いている時間。
俺は遅くまで水汲みをしていて、皆が眠りに付いた頃に帰ってきた。

ギィ……。

物悲しくも扉が軋みながら開く。
カンテラを片手に、家に入る。皆寝ている。
起さないようにと、ゆっくりと歩いていた時。
扉の建付けが悪かったのか、隙間風が局所的な突風を起こした。

フッ……。

カンテラの触媒が消える。
月明かりでは心許ない部屋の暗闇は、視界を不自由にしていた。

「……」

寝室に向かう最中、壁伝いに歩む。

ガッ

箪笥に身体が当たってしまい、鈍い音を鳴らした。
衝撃で僅かに開いた箪笥。
音を鳴らしたことをやばいと思って、すぐ直そうとした。

「――」

何も見えない暗闇だったのに、
箪笥の中で眠る手紙が見えた。
見覚えのある、俺の好きな手紙の外装が。

「――」

直感的ではあったが、
俺宛てだと思った。
手紙を隙間から抜き取り、部屋の中央の腰掛けに座る。
月明かりが急激に鮮明に光を灯しているように感じ、
綺麗に封のされた包装を解く。
中身を、広げる。

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