カオスドラマX

Gray Traveller / 607

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わったん 2026/04/26 (日) 21:33:40 >> 603

夕焼けが染まる頃、アルフィタリア盆地の中央部にまで到達した。
野営の準備をして、明日、ティダへ帰ることとなった。

「……」

俺が見る故郷は、俺の知る故郷ではないんだろうな。
その事実を噛み締めながらも、俺は明日、現実と向き合う。
そうしてはじめて、この世界を生き抜く事が出来る。
何も知らず生きて往った方がいいんだろうな。
でも、そうしないのは、俺にとってティダの記憶は大切だったから。
決して忘れてはならない、人生の縮図だったから。

「パマスの毛並みが酷いよ~」

「野菜達は洗ったよな?じゃあ食材をこっちに!」

「武器の手入れって職人感あっていいよな……」

思い思いに過ごすキャラバン。
俺も武器の手入れをしながら、夕餉の準備をする皆を遠くから眺めていた。

「おにいさん、明日だね」

少女が俺に声を掛ける。

「……あぁ」
「大丈夫って言ったけど、きっと俺は怖がると思う」
「……君達に、どうか助けて欲しい」

「勿論!私達は、おにいさんに助けられたんだもん」
「助け合いっこだよ!」

少女の笑みは、勇気そのものだった。
過去に直面するこれから、この笑顔は俺の恐怖を和らげてくれる希望だった。
きっと、俺と君の子も、こんな子だったんじゃないか。
そう信じて疑わなかったな。

「……あぁ、そしたら、これからも助け合いだな」
「ティダの村に帰郷したら、その思い出を抱えて」
「これからは君達と――」

そうして平和な心で会話をしていた時。

カンカンカンカンッ!

魔物が現れた事を示す警笛。

「襲撃だ!魔物の群れ、複数群確認!」

武器を手に取る。
野営に使用されていた火は全て消え、夕暮れの光が武器を照らす。

「包囲されてんぞ……!」

円を描くように、魔物たちはキャラバンを包囲する。

「周囲確認はしたのに……生息地域でもないぞ!?」

「気張れ!迎撃できなければ、物資を捨てて城に駆け込むぞ!」

「距離がある!厳しいぞ!?」

それぞれが状況判断をしながらも、その焦りは溢れるように迫っていた。

「……」
「盾を中心に扱うんだ」
「包囲された時は、攻撃に隙が生まれる」
「必ず防衛から入るんだぞ」

子供達に盾を握らせ、前線に立つ。

「凌ぐぞ……!」

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