「……何故そこまで、ラモエの心情を……」
『奴の懐に囚われていたんだ』
『そして、奴の心情に嫌気が差しながらも』
『その渇望する生存本能に、同情さえ感じる』
『俺は目的を成す為に、此処いるからこそ』
『ラモエの存在さえ今は認めざるおえない』
「……」
『不思議か?』
『ティパの村のクリスタルキャラバン』
「……」
『そこまで答え合わせをしたつもりはないが』
『残り半分、分かるだろ』
「……」
「里帰り」
「貴方は帰郷を目指している」
「だが、その身は都市に囚われた思念体」
「だからV社の一部を侵食したその力は」
「帰郷できる場所を作る力だと思った」
「嘗てのティダの村を作ることで」
「都市の中で帰る事の出来る場所を用意したんだと……」
「だが、そうじゃない」
「そうだとしたら、貴方はねじれてなんかいない」
「過去の貴方は、仲間を喪い、故郷を失い、家族を失い……」
「それでも、前へと歩む為に、過去を以てして振り返らず、新たな故郷で生きる決心をした」
「その時の貴方だったら、この都市においても、仲間の死に応える為に立ち上がったはずです」
「でも、そうじゃない」
「帰郷を願うからこそ、声に従い、自身の心根を掘り返してしまった」
「……本当に帰ろうとしているんですね」
「ティダの村に」
『バカげた話だよな』
『俺の目的は常に単一でありながら、欲望に塗れていたんだ』
『黄金畑の中で、妻と子供の笑顔を見ながら、ただ仲間に祝福されたかった』
『そう。だからこそ、帰らなきゃならなかった』
『そんな叶いもしない夢を打ち砕く為に』
『俺は死を選んだ』
『だが結果はどうだ』
『結局、あのクソ野郎に弄ばれただけ』
『クラヴァット一人の人生が、潰えただけ』
「……」
「なら、嘗ての村を再現するこの現象には、何の意味があるのでしょうか」
「貴方も理解しているはずだ」
「これは本質じゃない」
「虚像だという事を」