カオスドラマX

Gray Traveller / 635

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わったん 2026/05/18 (月) 21:35:09 >> 633

『そいつがなんだってんだよ……』
『俺達がラモエと戦っている時、一切の姿を現さず』
『剰えラモエに吸収されたやつが』

「ミオさんは忘れ去られた思い出を基に、ミルラの木、そしてしずくを作っていた」
「今を生きる人々に希望を持ってもらえるよう、あの人は戦っていたんだ」
「思い出は不定形で、俺達がどれだけ想い焦がれていても、忘却に消え往くものだ」
「思い出すには、別の力が必要になったりもする」
「あの人は、思い出をそうしてしずくに変えて」
「生きる力を俺達に与えてくれていたんだ」
「その力は、やがて魂にまで澄み渡り」
「希望という名の太陽を心に灯す」

『……』

「違和感はあった」
「アトリちゃんの思い出を喰らったアイツが、俺の心根を示すようなE.G.Oを出すのか」
「だが、実際の所、クリスタルワールドで散っていったミオさんが築いた」
「ティパのクリスタルキャラバンの思い出の結晶だったんだろう」
「『旅人の思い出』」
「アトリちゃんがミオさんの問いに思い出で答え」
「ケアルで思い出をミルラに変えた残滓」
「俺と彼女の思い出が入り混じった」
「ミオさんが残した『記憶』そのもの」

『……』

「そんな思い出とは別に、人間ってのは『記憶』する」
「思い出とは異なる、無機質な概念」
「存在に刻まれた履歴」
「感情の有無すら問わず、ただ『在った』という事実を保存するもの」
「魂の深層に沈殿し続ける存在証明」
「例え忘れた事があったとしても」
「記憶という永続的な刻印は」
「嬉しかったことも、苦しかったことも、赦せなかったことも、愛したことも」
「其の全てが堆積し、圧縮して、一人の人間という鉱石を輝かせる」
「削れば痛む」
「砕けば散る」
「然し、磨けば――光る」

『……』

「思い出は『鍵』なんだ」
「感情が触れた過去」
「涙の熱、抱擁の柔らかさ、別離の冷たさ」
「忘れ去られてしまうもの」
「でも、そんな脆い鍵こそ」
「記憶という、魂そのものを変えてしまう強い輝きを、開放出来るんだろうな」

『……お前……』

「……レビさん、貴方は、忘れ去られてはならない人だ」
「それも、都市ではなく、故郷に刻まれるべき存在」
「貴方に今、必要なもの」
「決して今は手に入らないものだ。ただ帰るだけじゃない」
「貴方は、希望を持って帰らなくちゃならない」
「ケージいっぱいの」
『ミルラのしずく』を」

『――』

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