カオスドラマX

Gray Traveller / 672

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わったん 2026/05/31 (日) 21:52:09 >> 670

「……ユンフ」
「何処まで消え、何処まで覚えている」

「何も」

「旅日記の余白の事も、もう記憶にないか」

「言ってんだろ。俺に記憶は無い」

「お前は一貫して透明であるべきだった」
「何故都市の色に染まる」

「俺が都市の人間だから」
「頭、禁忌、外郭……」
「漠然と身体が覚えていることはある」
「だが、倫理観もクソも無い現状が目に入った時」
「俺は確かに此処に居なかった存在なんだろうなってのは理解した」
「だが、理解しただけであって、覚えている訳じゃねぇんだ」

「……」

「で、赤い視線が何の用だ」

「俺の事務所、孤児院はこの辺りに構えている」
「その時、お前の話を耳にした」

「随分と世話焼きなんだな」
「俺とアンタはそんなに仲良かったのかよ」

「……」
「虚無の旋律、モバイルデッド、8bitタウン、降格急降下席、そして……」
「コンパスのない兵士」
「そんな事件を解決してきた仲だ」

「訳わかんねぇ事件達だ」

「……」

俺は世界を蝕む瘴気を払い切ったティパの村・クリスタルキャラバンのユンフだ

ヴェルギリウスの脳裏に浮かぶ、嘗ての彼の姿。
あらゆる軌跡を思い出として担っていき、大切に書へと書き綴ってきた彼。
そんな姿を知っているが故、目の前の存在が過去の事件を蔑ろにしている様を見て、
ヴェルギリウスは再び、深く、深く長いため息をついた。

「流れに抗った結果が、今のお前なのか」

「都市の流れは残酷だ」
「俺はその流れに抗おうとは思っちゃいない」
「ただ武器を振るうだけ」
「そうしてりゃ、自ずと俺が何者だったのか分かってきてくれりゃあなって」

「……」
「お前は、『思い出の旅人』として都市に抗うフィクサーだった」
「透明の軌跡、などと呼ばれたのも、多くの色を背負い、種を蒔き、思い出という花を咲かせたからだ」
「だというのに……お前の本質は、今目の前に立っているお前そのものなのか……」

「……俺がどんな人物だったか、教えてくれるのか」

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