カオスドラマX

Gray Traveller / 673

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わったん 2026/05/31 (日) 21:52:57 >> 670

「いや……」
「興覚めだ」
「俺が導くには、お前という存在は既に都市に染まり過ぎた」
「自分自身の方向標を見付ける事の出来ていない人間には」
「俺の言葉が、俺の示す流れは理解出来ないが故」

「そうかよ」
「……さっきのねずみを庇ったのは何故だ」

「お前自身が示した抗いだ」

「それを代わりしてくれた、と」

「もう、その必要も無いことは存分に理解した」
「それは決して悲劇でもなく、悲観する事も無い」
「ただ、都市の循環に沈み往く焔が其処にあるだけ」

「……仲良かったにしちゃあ、冷たいんじゃねぇか」

「仲良くなろうとしていたのは、お前の方だったからな」

「へぇ」
「アンタのような怖いおじさんに、俺が、ね」

「……」
「V社は透明の軌跡の本拠地ではない」
「12区、L社の地こそ、お前がフィクサーとして奔走した本拠地だ」

「なるほどな、拠点がそもそもとして異なってた訳だ」
「そりゃあ上辺だけしか知らねぇ奴らしかいない」

「分かったらさっさと行け」
「今のお前の姿は、決して愉快ではない」

「俺の事、吐かねぇと戦う」
「そう言ったら?」

「……」

「は、冗談に決まってんだろ」
「アンタとやり合ったら、とてもじゃないが勝てる気はしない」

「……何の面白味もない冗談を……」

「勝手に失望してんじゃねぇ」
「俺は俺だ。例え抜け殻であろうとも」
「今こうして話し、歩き、感情を露呈させている」
「過去に縋るつもりはない」
「俺は俺という存在を知った上で」
「この都市を歩む」

「……」

「じゃあな、赤い視線」

鋼鉄を片手に提げたまま、彼は都市を歩む。
その背を眺め、一人の特色は心痛なる想いを抱え、
都市に見えた希望の種の一つが潰えてしまった事に、
ただ残念で仕方がないと唸った。

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