「……」
「要は俺に刃を突き付けたことを許しゃ、通ってもいいんだろ」
「是非に」
「理解した」
「おぉ、それでは……」
「もういくつか聞きたい」
「仰ってください」
「俺以外が此処を通るってなったら、通行料は払うんだろ」
「じゃあ払えなかったら?」
「そりゃ、ウチら黒雲会のやり方で教育します」
「……」
「おいあんちゃん、さっきから副組長にふてぶてしい野郎だ」
「赦してもらってる側がどっちか分かってのか?あぁ?」
「おい、お前、止せ!」
先に絡んできた組織員がユンフの肩に肘を掛け
「ほら、見逃してやるってんだから、さっさと行った行った」
手の甲でペシペシと彼の頬を叩いた時。
「これは後出しの事柄だからいいよな」
組織員の首は吹き飛んでいた。
「……も、勿論……」
アラシは引きつった笑みを見せ、頬についた返り血を拭く事もせず目を伏せた。
「そ、それで……他に聞きたい事とは?」
「いや」
「もういい」
鋼鉄を手に取る。
「遠くで寝転んでる死体を見りゃ、お前達の教育ってのがなんなのか分かるからな」
「――チィッ!!」
「野郎共!!」
最早形振り構わずといったところか、組織員全員が抜刀。
「やれ!!」
通報 ...
「さてと」
「治安維持とはよく言ったもんだが」
「どうやら巣の中はいろんな組織が蔓延っているようだな」
「俺の事を知っている奴はいるかね」
鋼鉄に付着した血を振るい落とす。
霧の中には血潮が溜まり、
その場所から鮮血の足跡が行路を築く。
復讐の輪廻から外れていた男は、
決して何の深い感情も持たずに、
その輪に染み込んでいった。