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「『図書館』についてだが、まず、君の知っている情報を端的に教えてもらってもいいだろうか」
「L社の中枢に聳え立つ樹木」
「招待状によって誘われる都市の人々」
「招待状には、その人にとって望む本が其処に用意されている事が記されており」
「代わりに接待を受ける事となる」
「そしてそいつらは決まって還ってこなかった」
「ハハハ、残念だが、君が欲しがるような情報をどうやら私は持っていないようだな」
「……周りもそんなもんだって知れただけでも収穫だろ」
「前向きな意見、感謝するよ」
「図書館には挙って多くの組織が戦力を投入している」
「リウ協会……あぁ、君の知り合いもまた、その一人だ」
「チッ、無理くりにでも討伐させようとしてんな?」
「我々は親指」
「組織力においては5本指の中でも群を抜いている」
「不利な交渉も、慣れたものでね」
ダンクは向き直り、ユンフへと一歩ずつ近づく。
そうして手を取り合える程の距離まで詰めた。
「……これは興味本位で聞きたい事だ」
「君は、君の想い人を心の中に宿しているのだろうか」
「……」
「アトリのことだ」
「……」
「……そうか……」
「残酷なものだな」
「そして、納得の行く答えだ」
「その残酷に潜む微かな幸福と言えば」
「君の表情がコロコロ変わる事ぐらいだろうか」
そうしてダンクは、先まで不敵に上げ切っていた口角に合わせて吊り上げていた眉を、
何処か困ったように下げて透明の軌跡を見つめた。
その表情の意図を測ることは出来ない。
だが、憐れんでいる事はよくわかった。
彼は自身に向けられている瞳が、自身の為であり、同時に過去の自分に向けられているものだと悟ると、
小さくため息をついて頭を掻いた。
「……もう行っていいか」
「どうぞ」
西へ向かう。
その足取りは、霧の中を迷う事なく進んでいた。
「……」
「……ユンフという人物であれば」
「倒すのではなく、救いにいったであろうに」
「……フッ、寂しいものだな」
そうしてダンクは周囲の組織員に手振りを施すと、
再び図書館の聳え立つ方角へと歩んでいった。