カオスドラマX

Gray Traveller / 684

684
わったん 2026/06/28 (日) 20:16:18 >> 679

「『図書館』についてだが、まず、君の知っている情報を端的に教えてもらってもいいだろうか」

「L社の中枢に聳え立つ樹木」
「招待状によって誘われる都市の人々」
「招待状には、その人にとって望む本が其処に用意されている事が記されており」
「代わりに接待を受ける事となる」
「そしてそいつらは決まって還ってこなかった」

「ハハハ、残念だが、君が欲しがるような情報をどうやら私は持っていないようだな」

「……周りもそんなもんだって知れただけでも収穫だろ」

「前向きな意見、感謝するよ」
「図書館には挙って多くの組織が戦力を投入している」
「リウ協会……あぁ、君の知り合いもまた、その一人だ」

「チッ、無理くりにでも討伐させようとしてんな?」

「我々は指」
「組織力においては5本指の中でも群を抜いている」
「不利な交渉も、慣れたものでね」

ダンクは向き直り、ユンフへと一歩ずつ近づく。
そうして手を取り合える程の距離まで詰めた。

「……これは興味本位で聞きたい事だ」
「君は、君の想い人を心の中に宿しているのだろうか」

「……」

「アトリのことだ」

「……」

「……そうか……」
「残酷なものだな」
「そして、納得の行く答えだ」
「その残酷に潜む微かな幸福と言えば」
「君の表情がコロコロ変わる事ぐらいだろうか」

そうしてダンクは、先まで不敵に上げ切っていた口角に合わせて吊り上げていた眉を、
何処か困ったように下げて透明の軌跡を見つめた。
その表情の意図を測ることは出来ない。
だが、憐れんでいる事はよくわかった。
彼は自身に向けられている瞳が、自身の為であり、同時に過去の自分に向けられているものだと悟ると、
小さくため息をついて頭を掻いた。

「……もう行っていいか」

「どうぞ」

西へ向かう。
その足取りは、霧の中を迷う事なく進んでいた。

「……」
「……ユンフという人物であれば」
「倒すのではなく、救いにいったであろうに」
「……フッ、寂しいものだな」

そうしてダンクは周囲の組織員に手振りを施すと、
再び図書館の聳え立つ方角へと歩んでいった。

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