カオスドラマX

Gray Traveller / 688

688
わったん 2026/07/12 (日) 22:47:21 修正 >> 685

私は公園が好きだった。
巣に住まいを持つ私は、一定の幸せを約束されていた。
その幸せの中でも、静寂とも喧騒とも取れない、公園の囁きが好きだった。
春になれば花が咲き、楽師が演奏し、恋人たちが噴水の縁へ腰掛ける。
老人は鳩へ餌を撒き、子どもたちは追いかけ回る。
そんな、ごくありふれた場所。

「おじさん、こんにちは!」

地域保護の特別指定区域。
ツヴァイの人間が担当する事となったこの公園。
足元を奔り回る子どもたちの笑顔は、都市という暗雲を感じさせない希望そのものだった。
私はツヴァイ3課の人間だった。
英雄などでも、名を遺すような騎士でもなかった。
ただ、そうなりたかった残滓に過ぎない。
迷子を家に送り届けたり、酔っ払いを裏路地の夜に置いていかないようにしたり、
催しがある時は人混みを整理する。
それだけの男だった。
だが、「護る」とは、案外静かな仕事だと、そう思えば幸せだった。
今日、誰も泣かなければそれでいい。それでよかった。

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