カオスドラマX

Gray Traveller / 690

690
わったん 2026/07/12 (日) 22:48:16 >> 685

ある日、L社を中心とした崩壊が始まった。
翼は折れ、羽根は毟られる。
聞いたこともない速度で、街中の鐘が狂ったように鳴り響いた。
建物が崩れ、人が押し合い、悲鳴が重なっていく。

「広場へ!」
「噴水の方へ!」
「街灯を目印に!」
「順番に!」

子どもを抱き上げる。
老人へ肩を貸す。
泣く母親の手を引く。
多くの逃げ道を喪った者達を、此処へと導いた。

「い、一体何が起きて……」

「ひとまずこの公園で待っていて欲しい」
「付近の地域保護任務に従事したツヴァイ隊員を呼ぶ」

白く光る空。
まるで希望が翳したかのような空。
期待に満ちた高揚感が、崩壊した建物とは裏腹に、
私の心を彩っていた。


絶望に染まる黒き日々。
私は、その最中でも、公園に赴いた。
何をするにしても気力の沸かない日々。
最早死んだ方がマシとさえ思える脱力感。
それでも、私はこの公園に身を置いた。

「……」

公園の一つ、護る必要ないんじゃないか。
そう考えもした。
そうして意味もなく佇む事に嫌気さえ差した時。

「こんにちは」

一人の青年が、声を掛けたのだ。

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