カオスドラマX

Gray Traveller / 693

693
わったん 2026/07/12 (日) 22:49:02 >> 685

濃霧で輪郭のはっきりしない行路。
L社の巣付近は特に酷く、その世界での戦いは疲弊する一方だった。
親指の炸裂弾は、ツヴァイのコートさえ振動貫通させる。
私と共に戦った同僚は、何人かがカポの弾丸の餌食となった。
だが、私はこの程度の弾丸など目の仇にもしない。

私は長らく前線で戦いを命じられ、
ねじれの情報収集や、其処に至る人命救助まで、3課としての仕事を全うした。
そんな日々が続いたある日。

「6課が図書館に全戦力を投入して、全滅した」

南部ツヴァイ協会6課の崩壊の報せ。
濃霧の立ち込めたこの空間は、無線機さえも碌に通せない周波数の乱れがあった。
それ故に、届く情報はいつも遅れてやってくるもの。

「……公園の様子を見たいのだが、前線を離れることは――」

「不可能だ。俺達は『あなたの盾』」
「親指が狙う地域そのものを護る必要がある」
「協会フィクサーは、やれと言われたらやるしかない」

「……そうだな……」

心配が、常に沈殿する。
退路は、なかった。


霧の射手により、ツヴァイ3課フィクサーは殺された。
親指との交戦直後、奴らの弾丸を基に射抜かれた。
私が取った行動は、同僚の仇討ちや、ねじれの観察などではなく、
ただ前線から退くことだった。
他者の視線も無く、己が成したい事に邁進する。
協会フィクサーとしてはあるまじき行為だったであろう。
だが、私は人生の中でも最も五里霧中の最中、
退路である公園へと向かった。


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