カオスドラマX

Gray Traveller / 694

694
わったん 2026/07/12 (日) 22:49:15 >> 685

誰一人として存在は無く、
何一つとして存在は無く。
公園には無機質のみがあり、
不自然な血痕が存在するだけであった。
裏路地の夜を過ごした後なのだろうか。
僅かに見えるのは、嘗て子どもたちが付けていたアクセサリーや、
老人が大切にしていたジョウロが見えるだけ。

「……」

街灯が示す孤独。
光などではなかった。
照らしてなどはいなかった。
私にとっての希望を、幸せを。
私は護る事が出来なかったのだ。
ツヴァイの所属する協会フィクサーとして、
その役目に従事した結果、
私は、退路を喪った。

「……」

それでも、誰かが帰ってくると思ってしまった。
この公園は、この地域の中心だ。
誰かが帰ってくるなら、きっとここへ来る。
そうだ。誰かいる。誰かいるはずだ。
まだ確認できていないだけで、まだ誰かいるはずなんだ。
きっといる。
居てくれ。
助けを待っている人間が。


雨の強い日だった。

「……」


寒さで手先が麻痺していた。

「……」


喉から声が出なくなった。

「……」


涙が、枯れていた。

「……」


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